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千分の一話噺

第216章 名探偵は城を彷徨う


『我がライバルよ
この前はご馳走さまでした
お礼と言っては何ですが、次の満月の日、古城に眠るお宝を頂きに参ります
怪盗ラットキッド五世』


俺は予告状を握り締め、自転車を漕いだ。
行き先は予告状に書いてある古城…、この街で古城と言ったら霧雨城だ。
まだ満月まで日がある。
何が狙いか探りを入れる為だ。


霧雨城はこの時期、城の周りに紫陽花が咲き乱れ、別名『紫陽花城』とも云われ観光客が多い。
(これじゃあ鼠が紛れていても分からないな)
そこに、何故か以前の洋館事件の被害者(現市長の祖父)が来ていた。
「おぉ、探偵さんにも予告状が?」
「まあ…ですが、なんで貴方が?」
「わしはこの城の管理人なんじゃよ」
この霧雨城は現市長の一族が城主だったそうだ。
現在、城は歴史的文化財として、市が保存管理している。

「この城にお宝ってあるんですか?」
「江戸時代の金箔を使った時計はあるが…」
管理人は首を捻った。

俺はその後一人で城を歩き回った。
鼠が言うお宝は一般的なお宝ではないのは、洋館事件で分かっている。
(結局洋館で何を持ってたのか分からないままだしな…)
城にはそれらしいお宝は見当たらなかった。

何回か城を訪れたが、時間だけが過ぎていき、遂に満月の日となった。
警察は洋館事件のリベンジだと気合いを入れている。
さらに鼠は予告状をマスコミにも流し、取材陣や野次馬がわんさか押し寄せている。
警察は黄色い規制テープで関係者以外を城から排除した。
俺は管理人に呼ばれ、なんとか城に残れた。

時計の針は十二時を指した。
満月が天守閣の上に瞬くと奴はその満月を背に現れた。
「鼠!そこを動くなよ!」
俺は天守閣を駆け上がった。



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