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千分の一話噺

第206章 柏餅


「おじさん、柏餅食べよう!」
甥っ子の健太が柏餅を持ってやってきた。

今日は五月五日、子供の日だったな。

健太は柏餅をそのまま食べようとしていた。
「ちょっと待て!
葉っぱは食べるなよ」
「あれ?この葉っぱ食べれないの?」
「食べれない事はないが、柏餅は葉っぱは食べないんだ
葉っぱごと食べるのは桜餅だよ」
「なんで桜餅は食べて、柏餅は食べないの?」
「桜餅の葉っぱは桜の葉を塩漬けしてあって、一緒に食べると餅の甘さを引き立てる役割があるんだ
柏餅の葉っぱは柏の葉っぱで、香り付けや餅が乾かない様に巻いてあるんだ」
「おじさん、すごいね!」
「俺がガキの頃はじいちゃんやばあちゃんが教えてくれたんだがな…」

昔は三世代同居なんて当たり前で、祖父母から教えてもらえる事はたくさんあった。
現代は情報社会だなんて言うが、柏餅や桜餅の食べ方なんて知っていようがいまいがどうと言う事もない。
そのかわりもっとどうでもいい情報が飛び交う世界になった。
これも時代の流れなんだろう。

健太が俺くらいのオッサンになったら時代はどうなっているんだろうな。
柏餅なんて失くなってかも知れない。
「健太、柏餅好きか?」
「うん!」
「そうか…じゃあたくさん食べろよ」
健太は柏餅の食べ方を次に伝えられるのかな?



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