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千分の一話噺

第205章  プレゼント


「なぁ…今年の母の日は何プレゼントするか?」
「あぁ…もうそんな時期か…」

母の日には毎年なんやかんやと言いつつ、兄弟でカーネーションとプレゼントを渡している。
しかし、カーネーションはともかく、もうプレゼントする物がないな。
テレビ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子炊飯器、電子レンジ、エアコン…。
家電はほとんど新型に換えた。
さすがにまだ新しく買い換える訳にはいかない。
趣味らしい趣味もなく、ファッションや流行りものにも興味を示さない。
パソコンどころかスマホさえ使わない。
「どうする?」
「どうしようか?」
俺達は頭を抱えた。

とりあえず、二人でホームセンターをいくつか回ってみた。
「お袋、花好きだよな…
ガーデニングなんてどうだ?」
たしかに花は好きだろうけど、マンションの狭いベランダじゃあガーデニングの様にはいかない。
「うちにガーデニング出来るスペースないだろ?
やっぱり料理道具が良んじゃね?」
お袋の料理は、味は良いけどありふれた家庭料理、特別な道具も必要はなさそうだ。
「たぶん、こんなのめんどくさがって使わねぇよ」
「…だな」
あれこれ見て回るも『これ』といった物が見当たらない。

仕方なく帰ろうとした時、ある物が目についた。
「これどうよ!」
「おぉ、これなら毎日使うし良いんじゃね!」
俺達は『これ』を今年のプレゼントに渡した。


「お袋、ちゃんと充電してる?」
「大丈夫よ
けど、ほんとに便利になったもんだねぇ
おかげで坂道でも楽々よ」
今日もお袋はプレゼントした電動自転車に乗り買い物に出掛ける。


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