第186章 バイアスロン
冬季五輪が始まった。
スキーやスノボー、フィギュアスケートなどメジャーな競技は中継もあり話題になる。
バイアスロンと言う競技をご存知だろうか。
クロスカントリースキーとライフル射撃を組み合わせた競技だ。
元は北欧のスキーで獲物を捜し、銃で撃つ冬の狩猟。
これが軍隊の雪中戦や森林警備隊の訓練として用いられるようになった。
競技としては、18世紀後半にスウェーデンとノルウェーの軍人が行ったのが始まりといわれている。
北欧では冬のスポーツとして人気がありプロ選手もいると言うが、日本では銃規制からほとんどの選手は自衛官だと言う。
スキーを滑り、すぐに射撃を行いまた滑り出す。
これを繰り返すのは、かなりの体力と集中力が必要な競技だ。
3㎞のコースを一周し、息を整えライフルを構え、50m先の的を狙う。
「チッ…外れたか」
五発撃ち、一発が的を外れた。
射撃を一発外すと150mのペナルティループを一周しなければならない。
これですぐ後ろにいた選手に抜かれた。
しかし、スキーのペースを上げれば抜けない差ではない。
ライフルを背負い、すぐにペナルティループを滑り出す。
コースに戻ると更に順位が一つ落ちたが、先の選手は目の前にいるのですぐに抜き返す。
コースを一周してくると、前の選手の背中を捉えた。
「よっしゃ!」
次の射撃は全弾命中。
相手も全弾命中しているが、スキーは俺の方が早い。
最後の一周、体力は限界ぎりぎりだが、相手もそれは同じ。
気力を振り絞り、滑るペースを上げる。
ペースが落ちだした相手を抜き去りると後はゴールするだけだ。
大きな歓声が俺を迎えてくれた。
end