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千分の一話噺

第185章 名探偵は天使に弱い


俺の事務所は駅前商店街の外れにある古びた小さなビルの二階。
ビルのオーナーが物好きなおばちゃんで、安い家賃で使わせてもらっている。

「探偵のおじさん、これあげる♪」
女の子が入ってくるなり差し出したのはビスケットだった。
「ありがとうな
一緒に食べるか?」
俺はコーヒー、彼女にはココアを入れて出した。
「ワンッ!」
「お前はミルクだな」
コロも一緒だ。
年末の一件以来、コロを連れて遊びに来る様になった。

そこに突然オーナーのおばちゃんがやって来た。
「名探偵、邪魔するよ
…おや?可愛いお客さんが来てるねぇ、隠し子かい?」
「…オーナー、近所の佳奈ちゃんですよ」
いきなりのきつい冗談に苦笑いで答えた。
「知ってるさね
…コロも来てるんだねぇ」
オーナーはにこやかにコロの頭を撫でた。

「で、どうしたんです?
まだ家賃の支払いには早いでしょ」
「ちょっと仕事を頼みたいのよ
報酬は今月の家賃でね」
オーナーのおばちゃんは年に数回こうやって家賃と引き換えの仕事を依頼しにくる。
正直助かるけど、いろいろ頭痛の種になることがある。
この前なんか………。

俺が悩んでいると佳奈ちゃんが囁いた。
「おじさん良かったね、仕事が来て♪」
天使の様な笑顔で言われると断るに断れない。
「…で、何するんです?」
俺は恐る恐るオーナーに依頼の内容を聞いた。


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