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千分の一話噺

第182章 共謀


「…何で美紗が?」

「…何で俊樹が?」

店の前で鉢合わせた二人は苦い顔をしていた。

「私は文子に誘われて…」
「俺は祐司に誘われて…」

二人は同時に経緯を話し出した。

「「……あっ!嵌められた!」」

二人は同時に気が付いた。
幼なじみの文子と祐司がグルになって二人を引き合わせた事に。

「ど、どうするんだよ?」
「どうって…、ここ予約してあるんでしょ?」

普通の予約でも半年以上も先になる人気のレストラン、特別な日となると一年先は当たり前。
そんなレストランをバレンタインに二人の為と、文子と祐司が共謀して予約しておいた。

「…行くわよ!
このレストラン、半年以上も予約が取れないんだから勿体ないでしょ!」
意を決した美紗が俊樹の腕を掴んで店の扉を開けた。




「あの二人、上手くやってるかな?」
「大丈夫でしょ
もう三十路超えたいい大人なんだから…」
祐司と文子はグラスを合わせた。

「…今更だな」
「…今更よね」

四人は歳は違えど幼なじみ。
年上の祐司と文子は、年下の俊樹と美紗の仲をヤキモキと見ていた。
お互い好きなのに顔を合わすと喧嘩ばかり…。
何とか二人が上手くいくきっかけとして、あの人気のレストランを選んだ。
料理も絶品だが、それ以上に人気の訳がある。
カップルで食べると必ず上手くいくと…。



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