第181章 フラッシュバック
映画館を出ると雨は雪に変わっていた。
「わぁ雪!…初雪だね」
君は満面の笑顔で振り向いた。
今日は今年の初デート。
天気はどんよりとした曇り空、天気予報は雨になると…。
「あけましておめでとう♪」
「今年もよろしくな」
お互い新年の挨拶を交わし、映画館に向かった。
彼女が観たいと言った話題のアニメだ。
アニメは嫌いじゃないが…。
映画館のある街までは地下鉄で行く。
車内で他愛ない話しをしてると目的の駅に着いた。
駅を出ると雨が降り出している。
「…天気予報通りだね」
「あぁ、こんだけ寒いと雪に変わるかもな…」
そんな話しをしながら映画館に入った。
アニメは不治の病を患っている女性とその彼氏の物語。
思っていたより重いテーマだったが、雪の中の幻想的なラストシーンに彼女は涙していた。
彼女だけじゃなく多くの観客が泣いている。
正直、感動的で俺も目頭が熱くなった。
映画館を出ると雨は雪に変わっていた。
「わぁ雪!…初雪だね」
君は満面の笑顔で振り向いた。
その笑顔にさっきのラストシーンがフラッシュバックする。
「………」
「ん?どうしたの?」
君が俺の顔を覗き込む。
「…なんでもないよ
さっ、なんか食いに行こうぜ」
俺は彼女の頭をポンポンと叩いた。
初雪に喜びながら跳ねる様に歩く君は儚い妖精みたいだ。
その日、俺はプロポーズした。
end