第170章 歳の差夫婦⑥・お土産
まだ12月に入ったばかりだと言うのに昨夜から深々と雪が降り続き朝にはかなり積もっていた。
うちの地方も雪は積もるけど、この時期に積もるくらい雪が降るのは珍しい。
「日本に戻ってきて早々、こんな天気とは思わなかったな」
旦那がぼやくのも無理もない。
この間までいたニュージーランドは南半球、夏真っ盛りだったのに真冬真っ盛りの日本へ戻されるとは…。
「ねぇ何で急に日本に戻ることになったの?」
「それが、同じプロジェクトをやっていた同僚が事故で入院したらしいんだ
で、急遽呼び戻されたのさ」
旦那は外人みたいに肩をすぼめて見せた。
ホントに影響され易いんだから…。
「じゃあ、お見舞いにも行かないとね」
「そうだな…
さっ、忘年会に行こうか」
私達は、日本に戻ってきてんだからと実家の忘年会に呼ばれていた。
実家に着くと、庭先で甥っ子姪っ子が雪で遊んでいた。
「わ~い、おじちゃん!おばちゃん!」
二人は私達のところに走ってきた。(おばちゃんと呼ばれるのには、まだちょっと抵抗が…)
「はい、これ!」
二人が差し出したのは小さな雪だるま。
庭石の上に並べて置くと大きさの違いが私達二人と似ていた。
「よく出来てるね
このままここに仲良く置いておこうか…お家に入れると溶けちゃうからね
さっ、風邪引かないうちに中に入りなさい」
旦那は二人を褒めて、家の中に促した。
日が暮れかかると冷え込みもハンパない。
「私達も早く入ろう
お土産もあるんだから…」
「このワインはお土産なんだから、お前はあまり呑むんじゃないぞ」
さすが旦那様、私の事はお見通しね。
end