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千分の一話噺

第169章 全国へ!


「だから言ったでしょ!
ここはもっと減り張り付けて!」
俺達はいきなりダメ出しを食らった。
毎日毎日、何度も何度も練習を繰り返しているのに、なかなか上手く出来ない。県大会も近いのに…。

「そこ!遅れてるわよ!
ちゃんと合わせて!」
そんな俺達に声を張り上げ指導してくれているのは、我が校の伝説と云われた先輩でもある新藤純子コーチだ。


俺達がやっている『マーチングバンド』は、軍隊の鼓笛隊がルーツになるが、アメリカの大学生バンドがアメフトのハーフタイムショーで披露したショースタイルが定着し現在に至っている。
集団で行進しながら演奏したり、カラーガードやダンスチームと合わせて踊るように演奏したり、アスリート並の体力がいる。


全体練習が終わるとへとへとではあるが、まだ個々の練習もしないと大会で良い成績など残せない。
「全国行きたかったら、個々のレベルも上げるのよ!」
新藤コーチの激が飛ぶ。
新藤コーチは全国制覇した時の部長だった。コーチが卒業した後は全国どころか県大会すら勝てなくなっていた。
「私がコーチするからには、全国制覇を目指します!」
コーチに就任した時の言葉だ。一年目の県大会では優勝こそ逃したが名門復活と言われるくらいになった。


県大会当日、俺達は見事に優勝する事が出来た。
いまだ半信半疑な俺達に、目に涙を溜めた新藤コーチが言葉を掛けてくれた。
「だから言ったでしょ
全国に行くって…」



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