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千分の一話噺

第167章 名探偵はいつも貧乏くじ②


どうやら先客がいるようだな。俺に招待状を送った奴だろう。
「今時、地下足袋かよ…」
サンタクロースじゃあるまいし、そいつは暖炉の煙突を通ってきたって事か…。変な野郎に関わっちまったかな。

俺は部屋を一つづつ見て回った。平屋ではあるが広い敷地にコの字形に造られ、部屋数は多い。
「ちっ…いったい何部屋あるんだ?この屋敷は…」
どの部屋も埃の積もり方を見る限り、人が入った形跡はない。後は一番奥の部屋だけだ。
「さて…サンタクロースはこの部屋か?」
俺は勢いよく扉を開けた。

「よく来きましたね、名探偵…」

そいつは暗闇の中、俺を待っていた。俺が明かりを点けると、そいつは窓の鍵を外し窓を開けた。逃走経路を確保されたようだ。
「誰だ!貴様!?」
ヤバいな…思っていたより、かなり危ない奴の様だ。俺の頭の中に今まで捕まえた犯罪者のリストが巡る。しかし、こんな危ない奴は出て来ない。
「何を戸惑っているんですか?
いくら名探偵と言えど、初対面の私の事は分からないでしょう?」
振り返ったそいつはピエロの仮面を付けていた。
「ふざけたサンタクロースだな
わざわざ俺に招待状をよこして、しかも煙突から侵入して…
こんな手の込んだ事をしてまで俺に会いたかったのか?
…って、おい!もう逃げる気か?」
俺の言葉を無視して、そいつは今にも窓から逃げようとしていた。
「そうですね…
貴方とはこれから何度も会うことになるでしょうから、私の自己紹介もしておかないといけませんね」
そいつは窓から下りて、俺に向き直った。


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