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千分の一話噺

第158章 虹とキナコ


彼女の名前はキナコ。
これでもコンテストで優勝した親を持つ由緒正しいゴールデンレトリーバーなのです。
飼い主曰く、『きな粉みたいな色だからキナコ』と名付けられました。

このキナコ、ちょっと変わった事をします。
どういう事かと言うと…。

ある晴れた日、飼い主が庭に水まきをしていました。
キナコは庭の片隅でそれをぼんやりと眺めていたのです。
すると突然、キナコが水しぶきの中にジャンプするではありませんか。
飼い主は暑い日だったので水浴びしたかったのかと思ったが、どうも様子が違う事に気付いたのです。
何かに食いつくような感じ…。

水まきをしていると水しぶきに虹が見える事はよくありますよね。
キナコにはその虹が美味しそうに見えたようです。
口を大きく開けて食べようとしますが、口に入るのは水だけ。
納得いかないキナコは首を傾げ、一度だけ『ワンッ』と吠えました。
飼い主は何かあるんだろうと思うものの、訳が分からず首を傾げるだけ。

それからキナコは空に虹を見つけると一度だけ『ワンッ』と吠えます。
いつか大空に掛かる虹を食べてみたいキナコなのでした。


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