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千分の一話噺

第155章 空の栞【鰯雲×栞】


「ママ~お空にしおりがいっぱい付いてる!」

幼稚園の帰り道、娘が空を指差し喜んでいる。
空を見上げたら一面鰯雲だった。
細かい雲の形が、幼い娘には最近覚えた『栞』に思えたようだ。

「そうね、お空いっぱいに栞が付いてるね」
「お空には絵本がいっぱいあるのかな?」

子供の発想は大人の様な固定概念はなく、常に自由で羨ましいと思う時がある。

「今日ね、幼稚園で先生が絵本読んでくれたの
それでね…」

娘が幼稚園で今日あった事を無邪気に話してくれる。
そういえば、私が娘に絵本を読んであげたの何時だったか?と思い返した。
最近は忙しさを言い訳に娘に何もしてあげてない事に気付いた。

「…すっごく楽しかったんだよ」
「それは良かったわね
そうだ、これから絵本買いに行きましょ
みーちゃんの好きな絵本を!」
「良いの?ママ読んでくれる?」

私が笑顔で頷くと娘は私に抱き着いてきた。

「ママ大好き!」

この一言で私の中のもやもやが一気に晴れていった。


「鰯雲は空の栞か…」
私は掛け替えのない大切な絵本を手に入れた気がした。



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