第150章 企画
「今年の夏の企画はどうしようか?」
課長の言葉にみんな沈黙していた。
うちの様な弱小遊園地では新しいアトラクションを増やす予算など取れず、季節事にイベントを行って集客しなければ生き残れない。
しかし、さすがに何年かすればアイデアが尽きて来る。
「とりあえず夏のキーワードを並べてみるか…」
ホワイトボードに夏に関するキーワードを書き連ねる。
『海、花火、夏休み、スイカ、団扇、入道雲、ヒマワリ、カブトムシ、アイスクリーム、扇風機、素麺、風鈴、金魚すくい、盆踊り、かき氷、冷し中華、プール…』
ただ単にキーワードだけなら幾つも出てくる。
しかし、これらをイベントに繋げるのはなかなか骨が折れる。
「園内で盆踊りなんてどうっすか?」
新人が案を出した。
「それは何回もやってるんだよ…
他にアイデアが出なければ、また盆踊りになるだろう…」
課長は少し投げやりに答えた。
会議は良いアイデアは出てこず、時間だけが過ぎていった。
「流れるプールで流し素麺…
…無理ですね」
みんな苦笑いしか出来なかった。
「でも、流し素麺のイベントってなかったですよね」
「涼しげなイベントになりそうですよ」
流し素麺で盛り上がりだすと新人がまた案を出した。
「涼しげにするならお化け屋敷でやりませんか?」
この一言で一気に会議が進んだ。
『団扇片手にお化け屋敷で流し素麺』
クジ付きの団扇を配り、当たりが出たらお化け屋敷で流し素麺が食べられるイベントを開催。
これが大当りし、弱小遊園地は有名遊園地の仲間入りを果たした。
end