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千分の一話噺

第149章 おばあちゃん


今日は夏祭り、彼と二人で行くはずだったのに突然おばあちゃんが一緒に行くと言い出した。

「兄さん、ハンサムやね」
おばあちゃんは彼を見るなり一言。
「え?…ハン…サムって?」
彼は首を傾げた。
「若い衆には分からんかねぇ
良い男って事や」
おばあちゃんは彼の身体を触りながら品定めをしてるようだ。

「さぁおばあちゃん、お祭りに行きましょう」
私は浴衣に着替えて、おばあちゃんと彼と三人で祭り会場に向かった。
会場の神社までは15分程度、でもおばあちゃんと一緒だからもう少し掛かるかな。
「この兄さんは香奈の想い人かい?」
おばあちゃんは小さい声で私に聞いた。
私が頷くとおばあちゃんはにっこりと笑ってくれた。

神社では屋台が両側に並んで人もごった返している。
「ばあちゃん、何か食べるか?」
彼もおばあちゃんとすっかり仲良くなり手を繋いで屋台を見て回っている。
「あれが良いのう」
おばあちゃんが指差したのはかき氷屋。

「お梅ちゃん、まだお迎えこないんか?」
屋台のおじいさんがおばあちゃんに声をかけた。
「お主こそ、まだやってたんか?もうくたばってると思ったわ」
「まだまだ若いもんにゃ負けんわい
今年は新作のハチミツレモン味じゃ、冥土の土産に食べてけや」
二人の会話に苦笑いしか出来なかった。

新作のハチミツレモン味を三人で食べながら祭りの最後の花火を堪能した。
「良い冥土の土産になったわい」
おばあちゃんの言葉に私は…。


その後、おばあちゃんはと言うと…。
「ひ孫と祭り行くまで死ねないね」
めちゃくちゃ元気だ。



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