第136章 氷の日?
「ねぇ、6月1日が氷の日って知ってた?」
彼女から突然の質問に俺はきょとんとして、すぐには答えが出なかった。
「……え?……と、何で今頃氷なのよ?」
「旧暦の6月1日が氷の朔日(ついたち)って言われてたからみたいね」
今でこそ冷凍庫で氷は簡単に作られるが、超が付くくらいの貴重品だった江戸時代に加賀藩からその氷を将軍へ献上されたのが6月1日と云われている。
また、この日に正月の鏡餅を乾燥させた氷餅(凍み餅)を食べる習慣がある地域もあり、記念日に制定されたようだ。
「まぁ氷の朔日ってのは分かったけど、君は今何するか分かってるよね?手が止まってるぞ」
彼女は話が脱線しだすと必ず手が止まる。話しに夢中になり過ぎる悪い癖だ。
「…洗濯…です」
はっとした表情をすると、手にしていた洗濯物を洗濯機に放り込んだ。
「分かればよろしい
まぁ今日はこれから夏日になるみたいだから、後でアイスでも食べるか?」
「うん!」
洗濯物を全て洗濯機に突っ込むとスイッチを入れた。
梅雨前の青空が広がる良く晴れた穏やかな休日だった。
end