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千分の一話噺

第128章 ライダー魂


パララッパララッパララー!
三連ミュージックホーンを掻き鳴らし…。
「オラオラー!どけどけー!」
我が物顔で暴走していた十代。
「俺の前を走るんじゃねぇ!」
誰にも負ける気がしなかった。

しかし世の中そんなに甘い訳はなく、俺より速い奴なんてごまんといることに気付くと、あっさりバイクへの情熱がなくなった。


あれから四十年…。


周りにはバイクのバの字も言わなかったが、心のどこかに引っ掛かっていた。
そしてそれは、孫の一言で一気に膨れ上がった。
「(仮面)ライダーカッコイイ!」
もちろん、孫はテレビに向かって叫んだのだが、その一言が私の心の奥底に突き刺さった。
「よし!カッコイイじいちゃんを見せてやる!」
昔の血気盛んなライダー魂が甦り、あの頃憧れていたイタリアの名車「DUCATI 900SS」を購入した。
まぁ家族にはブーイングの嵐だったが、そんなのは耳に入らなかった。
一度燃え上がった情熱は誰にも止められない。
とは言え、さすがに昔の様な無茶苦茶な運転をする気はない。
飽くまで趣味として、またバイクを楽しもうと思った。


そよ風に誘われるまま、気ままなツーリングも粋で乙なものだ。



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