• テキストサイズ

千分の一話噺

第126章 新入社員代表


「それではこれより、平成二十九年度、株式会社NS商事入社式をとり行ないます」

やっとこの日が来た…。
この会社に入るために真面目に勉強し、髪を黒く染め短くした。
似合わないリクルートスーツにネクタイ姿は、奴が見てもすぐには俺だとは分からないだろう。
今日も挨拶や言葉遣いに気をつけてボロを出さないようにした。

「では、鈴木直行社長の挨拶です」
司会者の紹介で奴が壇上に現れた。
今でこそ、仕立ての良い高級スーツを纏い、社長って事になっているが、中身はあの時のままだ。
こいつのせいで親父の会社は倒産、親父は自殺しおふくろも後を追う様に…。

「新入社員を代表して高嶋良治くんの挨拶です」
その時は来た。
俺は奴が待つ壇上に上がった。
「鈴木社長、僕の事を覚えてますか?」
俺の一言に会場がざわついた。
奴がまじまじと俺の顔を見て、表情を変える。
俺は忍ばせていた銃を抜き、奴の眉間に突き付けた。
「…思い出したか」
会場がパニックになる中、俺は撃鉄を起こした。
「お…おい…よせ!
冗談だろ?これはエイプリルフールだろ?」
奴は引き攣った笑顔を浮かべた。
「嘘じゃないさ」
俺は躊躇なく引き金を引いた。



end
/ 1574ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp