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千分の一話噺

第125章 俺とあいつ⑥・誕生日


4月29日、ゴールデンウイーク初日、今日は昭和の日だ。俺がガキの頃は(昭和)天皇誕生日だったが、みどりの日になり、昭和の日になった。

そんな事はどうでも良いが、今日はアイツの誕生日でもある。
ガキの頃、プレゼントは何が良いって聞いた事があった。そしたらアイツ、言うに事欠いて『誕生石のダイヤモンドが良い♪』なんて吐かしやがって…。大人になった今だって安月給だから買える訳もない。

「は、はっくしょん!…はっくしょん!
何だ?花粉症?な訳無いな…
誰か噂してやがるな」
『どうした青年!花粉症か?』
「いや、花粉症じゃないはずだけど…」
『あっ昭和の人間はそんなにデリケートじゃないか』
「って、おめーも昭和だろ!」『そんな怖い顔してたら幸福が逃げるぞ♪』
「うるせー!怖い顔は元々だ!
それより何か良いことあったのか?妙に明るいじゃねぇか」
『そりゃあ、これから君とデートだからね♪』
「デートじゃねぇ!」
『ん?誕生日に二人で食事と言ったらデートじゃない?』
「いや、だから、それは…俺達は幼なじみだろ!」
『ふ~ん…まぁそういう事にしといて・あ・げ・る♪』

コイツはいつもこうだ。俺の事をおちょくりやがって…。

「いい加減にしねぇと奢らねぇぞ!」
『で、今年は何を食べさせてくれるのかな?ダイヤモンド?』
「食えるか!そんなもん!」

コイツ、まだ覚えてやがった。



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