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千分の一話噺

第122章 ある記憶


「我々は何処から来たのか…
我々とは何者なのか…
我々は何処に行くのか…」
~ポール ゴーギャン~



21XX年、ある科学者が遂に『人類の起源』を解明した。しかし、それは余りに衝撃的で受け入れ難い事実だった。時の政府は全ての記録と科学者の記憶を消却し闇に葬った。


…はずだった。


科学者は廃人となり回復しないまま息絶えたが、科学者は自分の身の危険を察知し妻に自分の記憶をコピーしたメモリーカードを渡していた。
「俺の身に何か起こったらこれを公表してくれ」との言付けと共に…。

記憶のメモリーカードは膨大な容量で一般的なパソコンでは開く事が出来なかった。彼女は夫の無念を晴らすため、なんとか記憶を公開しようと考えていた。夫がいた研究所のスーパーコンピュータなら何の問題もないだろうが、政府の息が掛かっているので迂闊に使う事は出来ない。今政府に目を付けられたら自分も抹殺されてしまう危険が頭を過ぎった。
(どうしよう…)
彼女は悩んだ挙げ句、ネットワークスーパーコンピュータを使うことを決意した。ネットワークスーパーコンピュータとは、ネットワークで繋がっているパソコン同士を連動させる事でスーパーコンピュータ並の性能を発揮するシステムだ。だが、全ての情報がネットワークに流出する為、リスクが大き過ぎて誰も使う事をしなかった。
だが、夫の記憶を公開するつもりなのだから、このリスクは最大の利点になる。彼女は直ぐにネットワークスーパーコンピュータシステムにアクセスし、メモリーカードを読み込ませた。


『人間の起源と正体とは…』


読み出された夫の記憶に世界は…。



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