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千分の一話噺

第115章 空模様


俺は転勤で名前も聞いた事のない山間の町に引っ越してきた。
山に囲まれた田舎町と思っていたが…。

「へぇ~こんな街があったんだ」

山に囲まれて自然は多いがビルやマンションも建ち並び、田舎という感じがしない。

次の日、冬晴れの真っ青な空に一筋の雲、空気は冷たいが澄んでいて気持ちが良い朝だ。

と、思っていたら何かが降ってくるのが見える。
それはどんどん増え、青空を覆い尽くすくらいに沢山の、沢山の白い物が…。

(ん?にわか雪か?)

フワフワと降りて来る白い物は雪にしては巨大だった。

ドスン!ドスン!

そこかしこに大きな音と震動を伴い、降ってきたのは巨大な白い塊。
見上げると巨大な塊の上に少し小さい塊が乗っている。

「ゆ…雪…だるま!?」

ちゃんと目と口が付いている。
間違いなく雪だるまだ。
巨大な雪だるまが空から降ってきたのだ。

フワフワとゆっくり降りて来るので避ける事は出来るが家や車は見事に潰されていく。
巨大雪だるまの来襲に、人々はただ逃げ回るしかなかった。

そして町は雪だるまで埋め尽くされてしまった。
しかし雪だるまが降り終わると、町の人達は騒ぎ立てる事もなく平然と普段の生活に戻っていった。

「…なんで?こんな異常事態なのに?」

俺が困惑していると、警官がやって来た。

「あなたが昨日、引っ越されてきた方ですね?」
「あっ!お巡りさん!
何なんです?これは!?」
「あぁ、初めての方はビックリしますよね
この町は雪だるまと共存してるんですよ」

俺はそのまま警察署に連れていかれ、この町が国家機密の町だと知らされた。

「明日の天気は曇り時々雪だるまでしょう」



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