第111章 プレゼント
「私って…やっぱり…重い?」
彼女は苦笑いしている。
今日は俺の誕生日。
最近仕事が忙しくなかなか彼女と会えなかったが、誕生日くらい会わないとな。
仕事を早めに切り上げ、彼女の住むアパートに行った。
「お誕生日おめでとう
これ…プレゼント」
会って直ぐに紙包みのプレゼントを渡された。
「おっ、ありがとう
開けて良いかな?」
彼女が頷いたので包みを開けた。
「毛糸のセーター?」
中身は青い毛糸で編まれたモコモコのセーターだった。
「これは、あったかそうだ
もしかして手編みか?」
俺が聞きくと彼女は少し俯き答えた。
「私って…やっぱり…重い?」
彼女は苦笑いしている。
「手編みは重いってか?
誰が言い出しのか知らないけど、人の想いを受け止められない奴に人は愛せないよ
でもまぁ、確かにモコモコのセーターって重いんだよね、重力が…」
俺は笑いながら受け取ったセーターを着た。
「どう?似合うか?」
彼女は涙目で頷くだけだった。
「ほらすごくあったかいぞ」
そのまま彼女を抱きしめた。
その瞳からぽろぽろとこぼれ落ちる涙を拭い口づける。
「ごめんな、このところ忙しくて全然会えなくて…」
彼女は首を横に振る。
「ううん、そのおかけでこのセーター編めたから…恨みも込めて…」
彼女は上目遣いでぺろっと舌を出した。
「お前、少し重くなっただろ?」
彼女を抱き上げ笑い合った。
end