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千分の一話噺

第104章 俺とあいつ⑤・初詣


初詣はアイツとよく行ったっけな。
そのアイツが姿を消してからもう何十年経ったのだろう。

俺は空を見上げた。

時の流れは早いもんだ。
フラッとどこかに居なくなったかと思うと、ケロッとしていつの間にか隣に居るような奴だったな。
つねに驚かせてくれる奴だ。

そういえば、アイツとの出会いも衝撃的だったな…。


あれは幼稚園の頃。


アイツはわけの分からない言葉を叫びながら俺に向かって走ってきた。
「△※☆◇#!」
しかも、何故か全裸だった。
「うわっ!なんだ!?おまえはっ!」
俺は思わず後ずさった。
「!◆◎%£▽…」
アイツは叫びながらそのまま俺の前を走り過ぎて行った。
「………」
まさか幼稚園児なのに絶句するとは思わなかった。
あの時アイツに何があったのかは謎のままだ。

その後も事あるごとに俺を驚かせ、俺を惑わせ、俺をヤキモキさせてくれたっけな。

そんなアイツが居なくなってから何十年経ったのやら…。
今頃はどこかでこの空を見上げているのかもな。



俺は神社へ向かった。
参拝客も少ない地元の小さな神社は、俺達がガキの頃の遊び場でもあった。
たまに正月で地元に帰ってきた旧友に会うことがある。

しかし、今年は懐かしい後ろ姿が…。



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