第102章 堀ゴタツ?
遂にコタツを買った。
近くのホームセンターで売ってるどこにである普通の電気コタツだ。
(これで今年の冬は暖かく過ごせるぞ)
アパートに持ち帰るとすぐにコンセントに繋いだ。
お茶とミカンを用意して足を入れる。
(…まだ温まってないか)
…?
何か違和感がある。
俺は一旦コタツを出て、コタツ布団を捲くってみた。
コタツはちゃんと点いてる。
別段おかしな所は何もない。
(あれ?気のせいか…)
布団を戻し足を入れる。
やっぱり違和感があった。
(…足が…浮いてる?)
堀ゴタツに入った時の様に足に床の感覚がない。
(ま、まさかな…)
手を入れてみた。
(…な…ない?)
そこにあるはずの床がない。
(堀ゴタツ?な訳あるか!)
恐る恐るコタツの中を覗いてみた。
「!!」
俺はすぐにコタツから飛び出た。
(な…なんだ今の光景は…)
コタツの中に宇宙の様な空間が広がっていた。
また布団を捲くったが、さっき見た宇宙空間はなく、見慣れた床がちゃんとある。
床を叩いてみたが何も異変はない。
布団を戻し、今度はゆっくりと顔を入れる。
そこは、無数の星々が瞬く、無限に広がる宇宙空間そのものだ。
(あっ…有り得ない…)
俺はすぐにコタツを返品しに行った。
代わりのコタツは在庫切れで一ヶ月先だとか…。
外は雪が舞いはじめ、真冬の寒さに凍えながらの帰り道。
(一ヶ月も寒いままか…)
俺は上着の衿を立てて、足早にアパートへ戻った。
end