第92章 ゴジラ
『ご覧ください!ゴジラです!
東京湾にゴジラが現れました!』
遅く起きた休日の朝、テレビを点けたらゴジラが映っていた。
「こんな時間に映画か?」
俺は寝ぼけた頭でコタツのスイッチを入れ、朝食を作り出した。
(そういえば、ゴジラの新作がどうとかって言ってたな…)
パンを焼いて、目玉焼きを作って、コーヒーを入れて…。
いつもの朝食をコタツに並べる。
『これから自衛隊が攻撃を開始する様です!』
まだ寝ぼけ眼でコタツに入り、ぼけっ~とテレビを見ながら朝食を食べた。
片付けをしてコーヒーを入れ直し、コタツに入ってミカンを剥いた。
(なんか映画っぽくないな…
宣伝だからかな?)
ミカンを食べながら、何の気無しにチャンネルを変えた。
『自衛隊の攻撃が全く効いてません!』
「えっ?」
(ここでもゴジラの映画?)
俺は慌ててチャンネルを変えた。
(どれもゴジラ…本物のゴジラ!?
そんな馬鹿な事があるか
そ、そうだ!NHK!NHKはっ!?)
『間もなくゴジラが上陸します!
東京は…』
ここで突然テレビが消えた。
どれくらい時間が経ったのだろう。
寒さでコタツが消えてるのに気付いた。
テレビもコタツもスイッチを入れ直しても着かない。
停電していた。
俺は夢を見ているんだと思いたかった。
しかし、それは地響きと鳴き声で現実に引き戻される。
end