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千分の一話噺

第82章 うさぎさんの日常(番外編)


「お主ら、伝説の紅葉(もみじ)を知っておるか?」
梟の源さんが、うさぎさんと山猫のノラさんとリスのエミリーさんに聞きました。

うさぎさんとエミリーさんは首を傾げました。
「…もしかして、湖にある楓の森ですか?」
ノラさんは自信なさ気に答えました。
「そうじゃ、あの森の中に紅葉の時期に一枚だけ黄金に輝く葉っぱが現れると云われている
その葉っぱを見つけた者は幸せになれるらしい
見てみたいもんじゃな」
そう言い残して源さんは飛んで行きました。

三人は顔を見合わせて、湖へ行くことにしました。
小川まで行き、鯉の錦さんに湖まで乗せてってもらいました。
「楓の森ですか…
あそこは迷いの森とも云われていますから気をつけて下さいね」
錦さんは森の近くまで送ってくれました。

「うわぁ綺麗♪」
赤に黄色に橙色、彩り鮮やかな楓の葉が湖面に映り込み、得も言われぬ美しさでした。

「とりあえず入ってみましょ」
うさぎさんを先頭に森の中に入りました。
「迷いの森って言ってたわよね?」
エミリーさんが後ろを振り返りました。
すると、入ってばかりなのにもう湖が見えないくらい周りは紅葉に囲まれていました。
「えーっ?どうしよう」
ノラさんが動揺しています。
うさぎさんは耳をピクピクさせて言いました。
「…大丈夫、水の音が聞こえるから帰り道は分かるわ
だから、黄金の紅葉を探しましょ」
「そうね、私とノラさんは上の方を探すわ」
(ほらノラさん、良いとこ見せなきゃ)
エミリーさんはノラさんの尻尾を引っ張っていきました。

三人は日が暮れる間近まで探しましたが、黄金の紅葉は見つかりませんでした。
「もう暗くなるから帰りましょ」
目の良いノラさんを先頭にうさぎさんの道案内で森を抜けました。
「黄金の紅葉は見つからなかったけど楽しかったね」

三人の心の中には黄金の何かが輝いていました。


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