第777章 モンブランな彼女④
翌日、俺は昼休みに武内を屋上に呼び出した。
「どうしたの?台風が近いのにこんな所に呼び出して…
まさかの告白?」
「この風なら誰も来ないからな
…お前、何者なんだ?」
「私は美少女JK、武内文子よ!」
「…お前も俺と同じ病気なんじゃないのか?
だから俺に近づいた…」
「…な、なんの事?
私は健康体そのものよ」
「俺は症状が軽いからあまり感じないが、ある程度症状がある人は同じ病気の人が分かると聞いた事がある
…月齢症候群の、な」
武内は黙って頷いた。
「…同じ病気の人なんて始めて会ったから嬉しくて…」
「そりゃあそうだ、分かってるのは世界に100人くらいらしい…
こうやって出会えるなんて奇跡的だ」
月齢症候群とは、月の満ち欠けに合わせて体調が左右される奇病だ。
別名『狼男病』、突然発症し昔は悪魔の病気と恐れられた。
俺は初めは信じられなかった。
月が体調を左右するなんて…。
しかし、満月や新月の時はどうしようもないくらいに欲望が爆発する。
原因も分からず治療法もないが、百年前に症状を抑える薬が出来た。
しかし、突然発症し症状は人それぞれで、車のエンジンが壊れるくらいの猛スピードで事故った女や、ナイフで無差別に人を襲った小学生や、競馬に全財産を投入して億万長者になった男や、旦那と子供を殺っちまった主婦もいたそうだ。
その危険性から国は患者を隔離し、ひた隠しにしたと云われている。
今は国の監視下で薬を服用しないといけないが普通に生活が出来るようになった。
「…お前は満月の夜はどうするんだ?」
薬で抑えられるとは言え完全ではない。
「…そうやね、モンブラン食いまくるわ!」
また関西弁になった。
「お前、なんで普段は関西弁じゃないんだ?」
「これが素の私《うち》、普段は美少女JKを演じてるんよ♪」
やっぱり変わったやつだ。
to be continued…