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千分の一話噺

第76章 GalaxyAngels・伝説


「今夜は荒れそうですね、艦長…」
副艦長のロブが俺の隣で呟いた。

「何言ってんだよ
宇宙(ここ)じゃ夜も嵐もないだろ?」
「雰囲気ですよ、雰囲気!
宇宙なんて海より味気無い空間なんだから、帰りの航路くらいそれっぽい雰囲気出さないとつまらないじゃないですか!」

俺は呆れ顔をするが、周りのクルー達は俺達のやり取りをクスクス、ニヤニヤと楽しんでいた。
ロブは場を和ますムードメーカー的な存在でもある。

ロブとの付き合いは長い。
救助隊訓練生時代の先輩後輩で、何故か配属先がいつも一緒と言う因縁めいた関係だ。
俺がGalaxyAngelsの艦長になった時も航海士長として乗艦してきた。
仕事は真面目で優秀だから、俺はすぐに副艦長に任命したのだが、たまに訳の分からない事を口走ったり、オヤジギャグを飛ばしては俺を呆れさせてくれる。

しかし、今回はそれがまぐれ当たりしてしまった。
アルタイル星系を航行中、突然艦内に非常警報が鳴り響いた。

「艦長!強力な磁気嵐です!
計器が全て異常を示しています」
クルーからの報告だ。
「この艦のシールドを破る強力な磁気嵐があるのか?」
俺の疑問にロブが答えた。
「もしかして、これが伝説の…
艦長、早く離脱しないと危険です!」
ロブには何か思い当たる事があるようだが、今は離脱する方が先決だ。
「機関全開!この宙域から全速で離脱する!
エンジンぶっ壊れてもブン回せ!」

俺達の艦は運よく軽微な損傷だけで離脱出来たが、あのまま巻き込まれていたら藻屑と化していただろう。

「助かったか…救助隊が遭難なんて洒落にならないぜ
それよりロブ、あの磁気嵐はなんだったんだ?」
「古(いにしえ)の伝説ですよ
アルタイルとベガの間にある期間だけ磁気嵐が発生するって…
星同士の絆だって云われてたらしいですが、まさか本当にあるとは…」
ロブは苦笑いしていたが、まさかそれを確かめたくてこの航路にしたのか?と疑惑の目で睨んだ。
「あっその目、俺を疑ってるでしょ
やだなぁ偶然ですよ、偶然!」
本当か?嘘か?…長い付き合いになるが、いまだに底知れない奴だ。
「まぁ良い…
GalaxyAngels、これより基地に帰還する!」



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