第737章 ミルキーウェイに流されて…
昔なら夏の始まりだった7月、今ではすっかり真夏だ。
「あっついなぁ…
今日も明日も明後日も猛暑日ってなんなんだよ
…こんな状況じゃあ良いアイデアなんか浮かばねぇよ」
俺はこれでも作家だ。
地元のローカルテレビ局に勤める友人からアニメの企画を依頼されている。
「七夕かぁ…
雨予報じゃないから星空だろうけど、東京じゃあほとんど星なんか見えないしな…
七夕をネタにした話は…」
正直、『天の川』は見たことがない。
『織姫《ベガ》』も『彦星《アルタイル》』も一等星だから見てはいるだろうけど、どれだか分からない。
マンガやアニメだと天の川を挟んで二人が愛を語ったりするけど、この暑さじゃ川遊びしたいだろうな。
…待てよ、良いアイデアが浮かんだ。
題名は…。
『転生した俺は、織姫と彦星と異世界を冒険する事になった』
「…ん?…ここはどこだ?」
俺は確か交通事故で…。
「…死んだのか?」
目が慣れてくると小さな光に囲まれていた。
「…ホタル?…いや、星空か?」
何もない草原のような所に寝転がっていた。
「これが本物の天の川…」
写真で見た天の川よりも数倍星の数が多い。
「あら…、あなたは?」
突然、凄い美女が現れた。
「だ、誰だ!?お前らは!?」
更に超イケメン男も現れた。
俺を挟んで両側にいる。
「もしかして…織姫と彦星?」
二人は頷いた。
俺は何でこんな場所に来たのか納得した。
「俺は天野河太郎《あまのこうたろう》だ」
俺達はこの先、三人でこの異世界を冒険する事になる。
end