第724章 偏見と変態
一面黄色に染まった川沿いの土手の斜面。
地元では桜の名所でもあり、散歩道としても地元民に愛されている場所だ。
「そろそろ春のファッションに衣替えしないとダメだね
冬物コートじゃあもう似合わないよ」
彼女を見て呟いた。
出掛ける時は常に彼女と一緒だ。
彼女を連れていると、周りからの視線が気になることもあるがもう慣れっこになった。
「君が世界一可愛いんだから仕方ない」
僕の自慢の彼女だ。
しかし、今日は変な女がいた。
見た目は普通だが、連れている犬に話し掛けている。
(…危ないヤツだ
近寄らない方がいいな)
あれは絶対に人と分かりあえないタイプだ。
「ジョン、見てごらん
菜の花が綺麗よ」
ジョンは菜の花をクンクンしていた。
すぐにスマホで撮影してSNSにアップした。
いつも一緒に散歩してジョンの可愛い姿を写してる。
「ジョンは世界一可愛いんだから仕方ないよね」
ジョンは自慢の愛犬なのよ。
そこでちょっと変わった男を見つけた。
見た目は普通の青年なんだけど、上着の胸ポケットから顔を出している人形に話しかけていた。
(…危ないヤツね
近寄らない方がいいわ)
あれは絶対に人と関わりたくないタイプね。
人形に話し掛けるAさん、犬(ペット)に話し掛けるBさん。
人形も犬も喋らないのは一緒。
犬は言葉に反応はするけど理解している訳じゃない。
繰り返される事で合図として覚えてるだけだ。
人形と言えば、仏像もキリスト像も人形だ。
祈ったり懺悔したりと話し掛けている。
あなたはどちらを支持しますか?
end