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千分の一話噺

第716章 真っ白に…


新年が明けるといきなり大雪に見舞われた。
「今年は暖冬じゃなかったのか?」
ネットの天気予報では、局地的大雪警報が出されている。

「局地的大雪警報!?
なんだそれ?聞いた事ないぞ」
テレビのニュースでは更に聞いた事がない警報が出ていた。

『…ただいま東京の多摩地域にゲリラ豪雪警報が出されました』

これも異常気象のせいなのだろうか?
「これから『新成人の新年会』なのにどうやって会場に行くんだよ…」
自転車で行くつもりだったが、見る見る積もる雪に自転車は諦めた。
歩いて行くと小一時間は掛かる。
しかも大雪となれば、どれくらい掛かるか分からない。

「止めるか?
…否、意地でも行ってやる!」 
俺には行かなければならない訳がある。
中学校時代の憧れの幸子ちゃんが帰郷していて新年会に参加するのだ。
行かないなんて考えられない。
俺は完全防寒で会場に向かった。

「こ、これがホワイトアウトなのかっ!?」
雪が滝のように降って前が真っ白で見えない。
「うおぉぉぉ~っ!何のこれしき!
幸子ちゃんが待ってるんだ!」
積もった雪を掻き分け前に進む。

寒いはずが汗かくくらい熱くなった。
「後少し…」

トゥルルル…

会場が見えてきた時にスマホが鳴った。

『おい、聞いたか?
幸子ちゃん、来れないんだってよ!』
「えっ!?………」
『…おい?…もしも~し!
聞いてるのか?もしも~し!』

電話が切れると同時にゲリラ豪雪は止んだ。
「俺は何のために…」
会場に着くと空は綺麗に晴れていた。


end

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