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千分の一話噺

第710章 住めば都よ


年末、カウントダウンも間近だ。

俺は毎年、カウントダウンには鍋を食べることにしている。
もちろん今年も鍋を準備している。

ただ、いつもと違うのがここはエジプト、ピラミッドが見える街カイロにいると言うことだ。
「まあ、カイロって言っても今は日本食の店もあるし、食材も手に入るしね」

鍋の材料はちゃんと用意出来た。
カセットコンロに土鍋もある。
もちろん年越し用に蕎麦も準備した。

「そろそろ始めるか…」
土鍋にスープ張って、野菜とキノコ類を煮て、肉を入れて、煮えるまで窓の外を眺める。
「ピラミッドもシルエットだけなら富士山みたいなもんだね」
窓の外に見えるライトアップされたピラミッドを眺めながら富士山を思う。

「ああ、俺ってつくづく日本人だな…
ピラミッド見て富士山を思い浮かべるなんて…」
本当なら炬燵にミカンも欲しいけど、さすがにカイロで炬燵は無理だよな。
「これで紅白歌合戦が見れれば完璧な年越しなんだけどね」
今はスマホでネットから見れるけど、時差もあるから時間が合わないし…。

鍋をつつきながら呑む酒は格別だ。
「…外が騒がしくなってきたな
そろそろかな?」
鍋に蕎麦を入れて、外を眺める。

今や年越しカウントダウンは世界中で行われる。
「今年はいきなりのエジプト転勤だったからバタバタしてピラミッドすらちゃんと見てないけど、来年は少し観光も出来ると良いな」
年越し蕎麦を食べながら、カイロのカウントダウンを楽しんだ。


end

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