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千分の一話噺

第708章 年末年始は食い倒れ?


「ゴホッ、ゴホッ…」
週末には年末年始の休みなのにコイツは朝から咳しっぱなしだ。
「なぁ、風邪気味なら週末からのツアー止めた方が良いんじゃね?」

コイツの机の上の卓上カレンダーには赤文字でデカデカと…。
『超豪華!最高級なラウンジバスで行く、超越至極なグルメツアー』
と、書かれている。

「バァーロー、風邪くらいで止められる訳ないだろ?
年一回しか開催されなくて、しかも毎年10名限定なんだぞ
今年の夏の抽選会で競争率260倍の抽選を勝ち取ったツアーだ
なにがなんでも絶対に行く!這ってでも行く!
それにキャンセルしたらツアー代は返って来ないんだよ」

ツアー期間は年末年始の10日間。
仙台から青森、日本海沿岸を山口まで下って、神戸、大阪から名古屋を経て戻ってくる。
ほぼほぼ本州一週のグルメツアーだ。

バスで移動中も各地の土産物や地酒が振る舞われ、泊まるホテルは三ツ星クラス、もちろん豪華なディナーも付いて、酒も飲み放題となっている。

観光名所などには立ち寄らず、兎に角、有名な高級食材や地元ならではの食材、地酒に地ビールにワインなどなど、ひたすら食って飲んで過ごすツアーらしい。


「毎年何人かは途中でリタイアするらしい
…だが、最後まで残れば抽選シード権が貰えるんだ」
どうやら抽選は予備予選から予選、本選の三段階あるそうだ。
シード権を持っていれば、いきなり本選なので当選する確率が高くなる。
「俺は来年も参加するんだ!」
まだ行ってもいないのに来年の話をする。
「そうか、そこまで気合い入ってるなら…
これ持ってけ…」
俺は胃薬を渡した。


end


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