第699章 踊る阿呆に見る阿呆…
今月末はハロウィン。
本来キリスト教のお祭りだが、日本はそんなの関係なくばか騒ぎする。
国民性と言えばそれまでだが、真似事くらいならいいが、ばか騒ぎは正直同じ日本人として恥ずかしい。
しかし、それを好都合と考えている者もいる。
「今年はコロナ開けってことで、この国はまたばか騒ぎをするんでしょ?」
「私達には良いチャンスよ」
「ちょっと刺激するだけで暴れてくれるもんね」
悪魔の女子会だ。
悪魔にしてみれば、普段の姿で街に出れる恰好の日なのだ。
「今年はコロナ開けで、悪魔達が暗躍しそうよ」
「でも、ハロウィンは街中がみんな怪しい奴ばかりよ」
「暴れた奴は片っ端から消すしかないわね」
こっちは天使の女子会だ。
ちょっと物騒な話をしている。
ハロウィン当日、繁華街ではお祭り騒ぎが始まりだした。
「あの辺りの連中なら暴れるんじゃない?」
悪魔の一人が酒を飲みながら喋っているグループに目を着けた。
「さあ、阿鼻叫喚の宴にしましょ!」
悪魔達はグループの人間に入り込み、違うグループに喧嘩を売ったり、停めてある車を壊したり、閉店している店を襲ったり…とやりたい放題やった後、悪魔達は人間から抜け出し次の獲物を探す。
「ちっ、もう悪魔が入り込んだみたいだ」
騒ぎにいち早く気付いた天使が他の天使達を呼んだ。
「ここら辺一帯を全部消しちゃいますか?」
駆け付けた天使の一人が呟いた。
さすがにそれは出来ず、天使達は暴れている人達を一人づつ消していった。
そして、悪魔と天使が顔を合わせた。
「相変わらず邪魔してくれるわね!」
「ふん、それが私達の仕事だからね!」
視線がバチバチだ。
「…ところで、天使が人間を消しても良いのかしら?」
「悪魔に乗っ取られた奴は人間とは呼ばないわ
そんな輩はさっさと消すのが一番良いのよ」
どっちが悪魔なのか…。
ハロウィンは悪魔と天使の狂宴であった。
end