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千分の一話噺

第697章 飢えた野獣ども


今日は待ちに待った体育祭だ。

体育祭は全校生徒を4つのチームに分けて、競技毎のポイントで勝負する。
俺が出るのは午前中の『借り物競争』と最終競技、我が校の名物競技『パン食い競争』だ。
他に『500m走』や『走り棒幅跳び』などの個人競技、『10×20mリレー』や『巨大玉入れ』などチーム戦もある。

3競技終わって俺達のチームは最下位。
俺は気合いを入れて借り物競争に挑んだ。

スタートダッシュで借りる物が書かれているカードを手にする。
そのカードには…。
「何だ!?…バーコード?」
『さあ各選手、カードを手にして頭を抱えた!
今年からカードにはバーコードで借り物が書かれている!
まずはバーコードリーダを探さないと先には進めないぞ!』
アナウンサーが声を選手を煽る。
「そんな物どこに?、………購買部だ!」
『お~っと!早くも気付いた選手が走り出した!』
購買部のパソコンには商品のバーコードを読み取るリーダがある。
俺より先にそれに気付いた奴がいるがそれでも二番手だ。
リーダで読み取ると『埴輪』と出てきた。
「埴輪だと!?…確か歴史資料室にあったよな」
俺は校内を駆け回り、埴輪のレプリカを抱えゴールを目指した。
『さあ!トップで戻って来たのはウサギさんチームだ!
埴輪を抱えてゴール!!!
これでクマさんチームを抜いて3位に上がったぞ!』
まだ3位だが午後から捲れば逆転優勝は可能だ。

午後は更に白熱した戦いが続き、最終競技の『パン食い競争』で優勝が決まる大混戦となった。
『さあ、トップを走るカメさんチームに他のチームが肉薄だ!
最後に笑うのはどのチームだっ!?』
ルールは100mダッシュし、後はひたすらパンを食べる。
走った順位毎にボーナスが付くが、とにかく食べた者勝ちの競技だ。
この競技に出る選手達は俺を含めみんな昼飯を抜き、正に飢えた野獣ばかり、今か今かとスタートを待っている。

『レディ~~~…Go!!!』


end

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