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千分の一話噺

第693章 天災は忘れた頃にやってくる?


今年は関東大震災からちょうど100年になる。

100年前と今では都市の構造も住民の知識も違うはずだが、近年の震災被害でもやはり甚大な被害になっている。


「防災グッズ?そんなの要らないだろ?
震災なんて生きてるうちに一回あるか?ないか?なんだから…
宝くじみたいなもんだよ」
彼は呑気にそう言うと、にこやかに菊酒をあおった。
「また昼まっから飲んで…」
「今日は菊の節句なんだから良いんだよ」
9月9日は菊の節句で菊の花を浸けたお酒『菊酒』を飲んで長寿を祈ったそうだ。

「もう…あんたみたいなのがいるから震災の時に被害が広がるのよ!
それに防災グッズはどんどん進化してるの…
これなんか折り畳めるヘルメットなんだから!」
昔なら防災頭巾なんだが、今の建物は外壁にコンクリートを使っていたりするので、都市部ではヘルメットの方がより安全である。

「それに非常食だって、スゴく進化してるんだから!
私たちが子供の頃は乾パンしかなかったのに、お湯入れるだけで簡単に出来るご飯なんかもあるのよ」
「へぇ…、ちょっと小腹減ったから、それ試しに食ってみようぜ」
彼はお赤飯の袋を一つ取ると作り方を読んだ。
「ふ~ん、お湯で15分、水なら60分か…」
チャック付きの袋に分量のお湯を入れ、チャックを閉めて5分待つ。
お皿に開けて付属のごま塩を振る。
「…おっ、インスタントにしちゃあ、なかなか美味いじゃん」
「…うん、もっとべちゃってしてるかと思ったけど、これなら普通に食べれるわね」
これがきっかけで彼は防災グッズにハマるようになった。


end

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