第692章 ビッグフライとジャンボフライはどっちが美味しいのか?
『ビッグフライ!オオハラサ~ン!』
毎日のようにメジャーリーグの情報がテレビを賑わす。
日本人メジャーリーガー大原修平が大活躍しているのだ。
アメリカに渡り活躍した選手は多いが、彼程成功した選手はいない。
メジャー挑戦は投手との二刀流だった。
投手としてもチームのエース格だったが、相次ぐ故障で投手を断念し打者に専念した。
打者大原はすぐに日本人初の打点王となり、ホームラン王にも手が届く位置にいた。
そして、去年は日本人初のホームラン王、首位打者、打点王と打撃主要三部門を制し三冠王となった。
彼のホームランは、その打球スピードと飛距離から『月に届くロケット』と例えられた。
日本人離れしたパワーと打撃センスは群を抜いている。
そこに目を付けた一人の男がいた。
大原義三、もちろん大原選手とは縁もゆかりもない只の大原だ。
「これは使える!」
大原は和菓子屋『大原堂』の経営者だった。
大原修平ブームにあやかって新製品を考えた。
「この秋の新商品、その名も『大原ビッグフライ月見団子』だ!」
野球のボールそっくりに縫い目も再現された月見団子だ。
発売と同時に爆発的に売れ、遂には大原選手とCM契約まで取り付けた。
『大原堂は和菓子のホームラン王です!』
往年のCMをパロディするとこれがまさかの大炎上し、一気に大原堂人気は下火となった。
他人のふんどしで相撲は取るなと言うことです。
end