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千分の一話噺

第690章 異世界っていい世界?


「海だぁぁぁぁぁ~!」
ギラギラした太陽…、焼けた砂浜…、打ち寄せる波…。

海に来るなんて何年ぶりだろうか。

貯まっている有給を取れと上司から強制的に休みにさせられたのだ。
お盆休みと合わせて十連休となった。
海の家で借りたビーチパラソルを立てて、午前中から缶ビールを片手に良い気分だ。

「くぅ~っ!
こんな時間からビールなんて最高だぁ!」

缶ビールを三本開けたくらいで意識がなくなった。


「…~し!もしも~し!」
「ん?…あれ?」
俺はどうしてたんだ?
「大丈夫ですか?
早く立たないとアレに食べられちゃいますよ」
可愛い女の子がにこやかにとんでもない事を言った。
「え?…アレ?」
少女が指差す方を見ると“アレ”と目があった。
巨大なハサミをパチンとならすと俺を目掛けて横走りしてきた。

「どわぁぁぁぁぁぁ!
な、何だぁ!?あの蟹の化け物はっ!?」
俺は一目散に走った。
「お兄さん、助けてあげましょうか?」
さっきの少女が横を走っている。
「君みたいな女の子に何が出来るのっ!?」
少女は立ち止まると蟹に向き直った。
「こんな事が出来ます」
右手を上に上げると火の玉が現れた。
その火の玉を蟹目掛けて投げ付けると蟹はあっという間に火だるまとなった。
「い、今の…何?」
「ただの魔法ですよ
それより焼き蟹食べましょ!」
少女はさらっと言って香ばしく焼けた巨大蟹に向かった。

「美味ぁ~い!」
巨大な蟹足はまるでステーキのような食べ応えだ。
「お兄さん、どこから来たの?」
「俺は………、ところで日本って知ってる?」
少女は首を横に振った。

…俺はなぜか異世界に飛ばされた様だ。


end


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