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千分の一話噺

第687章 悪夢は突然に…


突然のゲリラ雷雨。
まあ、突然くるからゲリラと言われるのだが…。

「ひゃぁ~!」
一瞬でずぶ濡れになるくらい降ってきた。
私は慌てて近くの建物に駆け込んだ。
「あぁあ、日焼け止めが…」
晴れてたから日焼け止めを塗ってきたが、これだけ濡れると取れちゃっただろう。
「ほんとに急なんだから…」
私はそこで周りの異変に気が付いた。

入り口は自動ドアだったが、中は電灯が消えていて薄暗く奥の方は全然見えない。
「…な、何ここ?」
ビルのエントランスのような場所だが人気がなく、しんと静まり返っている。
気味が悪くなり出ようと思ったが、自動ドアが開かない。
「えっ?えっ!?…なんでっ!?」
外は雨が止んで、多くの人が行き交っている。

ドン!ドン!
「誰か!助けて!」
私はドアを叩いて助けを呼んだが、誰も気付かず通り過ぎていく。
「何で気付いてくれないのっ!?
…そうだ!スマホ!」
私はスマホを取り出したが…。
「…圏外?…どう言うこと?」
何処にも掛けられなかった。

コツ…コツ…コツ…

「な、何?…足音?」
逃げ場がない。
足音は暗闇の向こうからどんどん近付いて来る。
「キャアァァァァ~ッ!!!!!」
私は気を失ってしまった。



「…おい!…おい!大丈夫かっ!?」
目を開けると警備員らしき人がいた。
「…わ、私は?」
外にいた。
「熱中症で倒れたんだ
これを飲みなさい
もうすぐ救急車も来る」
差し出されたペットボトルはスポーツドリンクのような味がした。

あれは熱中症でうなされたからなのかしら?
あまりにリアルで身体の震えが止まらなかった。


end

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