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千分の一話噺

第683章 年の差なんて聞き流せ!


ガシャ…ポチッ…♪
「はぁ…早く梅雨明けしてくれないかなぁ…」
俺はウォークマンで昔のテープを聞きながら洗濯機に洗濯物を放り込んだ。
「ふんふんふ~ん♪」
やっぱり昔の曲は良い。
しかもノイズのあるカセットテープの音が心地良い。

「ねぇ、何聞いてるの?」
「昔のテープ…」
「また、そんな骨董品引っ張り出したの?」
「骨董品とは何だよ!」
「だって私が生まれる前の物でしょ?」

年齢差のギャップは仕方ない。
俺は50歳、妻はまだ半分…25歳になったばかりだ。
カセットテープも一世を風靡したウォークマンも知らない世代だ。

「けど、最近またカセットテープで新作を出すアーティストもいるけどね」
「…でも、テープを聞ける人なんて少ないだろ?」
「リサイクルショップでラジカセが人気あるみたいよ」
「じゃあこれは、骨董品じゃなくて流行の最先端ってやつだな」
「…物は言いようね」

ギャップはあったとしても、お互いを知ろうとすればその差は大したものじゃない。
一緒に出歩くと必ず親子に見られるが、それも楽しんでいる。

「また、店の人に間違いられたわね」
「…けど、夫婦だって言った時の相手の顔はいつ見ても楽しいな」
「そんな意地の悪い事言うと、鰻食べさせないわよ」
「…ごめん」

たまにどっちが年上か分からない。
年の差があってもこの時期は鰻で精を付けないとね。
特に俺は出来るだけ長生きしないとな…。


end

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