第680章 花火と告白は突然に!
新型コロナの影響で三年間中止と成っていた田舎の夏祭りが、今年は開催されると聞いて帰ってきた。
駅から実家へ向かう途中で…。
「おう、和馬!
帰って来たんだ?」
幼馴染みの浩司に出会った。
浩司は地元で就職して頑張っている。
「花火は見るんだろ?」
「その為に帰って来たんだ」
「じゃあ、川辺で待ち合わせだな」
祭りは地元神社の夏祭りで、祭りの最後には脇に流れる川で花火が上がる。
大きな花火大会の様に派手じゃないが夏の楽しみの一つだ。
「翔子も誘うんだろ?」
翔子も幼馴染みで、浩司の彼女でもある。
「う…、いや、…翔子はたぶん来ない、…と思う」
浩司は歯切れ悪く、頭を掻いた。
「また喧嘩かよ!?
さっさと謝っちゃえよ!」
「ちげぇよ!
と、とにかく川辺に6時だからな、遅れるなよ!」
浩司は逃げる様に去っていった。
「…なんだ?あいつは…?」
俺は首を傾げながら見送った。
俺は実家に荷物を置いて、一息吐いてから川辺に向かった。
川辺に着くと浩司と翔子も来ていた。
「あれ、翔子?来れないって…」
俺は浩司と翔子を交互に見た。
「翔子が、どうしても自分で言いたいって…
俺が話すからって言ったんだけどな」
「和馬、久しぶり…
私達、結婚するの!」
「………えっ!?」
あまりに突然で言葉がなかった。
「じゃあ、祭り楽しんでね」
そう言って翔子は帰っていった。
「…あ、あれ?帰るのかよ…?」
「実は…出来ちゃってな…子供…」
浩司は照れながら白状した。
「…で、で、出来ちゃったぁ!?」
どうやら出来ちゃった婚だ。
その後の花火も色褪せて見えた。
end