第679章 異世界アパート 27
台風が梅雨前線を刺激して各地に大雨を降らしている。
「あぁ~あ、只でさえ鬱陶しいのに台風なんて…」
一緒にランチをしている涼子が愚痴る。
「梅雨なんだから…、愚痴らないの…」
「せっかく今夜合コンだったのに中止よ!
信じられない!」
「仕方ないでしょ、電車が止まったらどうするのよ」
涼子はそれでも納得いかない様子だ。
結局、その日は会社も3時で終わるくらい大荒れになった。
「綾子、明日は休みだしせっかくだからうちでご飯しない?」
涼子に誘われて、涼子の家で夕食をご馳走になった。
お酒も入り、電車も止まってしまったため、そのまま涼子の家に泊まることにした。
「綾子の彼氏ってどんな男なの?」
酔った涼子が絡んできた。
「だからぁ!そんなんじゃないって!」
確かにゼクスは悪い奴じゃないし、見た目もカッコいいんだけど恋愛対象とはちょっと違うかな。
何か私の周りをキャンキャン吠えながら走り回ってるヤンチャなワンコって感じなのよね。
「何?まだ白馬の王子様に憧れてるの?」
「もう、寝るわよ!」
異世界《あっち》なら白馬の王子様も有りそうだけど、それも違う気がするし、やっぱり恋愛はこっちでしないと駄目よね。
翌日は台風一過で青空が広がり夏の暑さだ。
「暑いわね…かき氷食べようよ」
涼子とショッピングに出たんだけど暑くて外にいられない。
近くのカフェでかき氷を食べた。
「今日もろくな男が声かけて来なかったわね」
「涼子は理想が高くない?」
「そんなことないわよ…
もっとワイルドな男らいし男っていないのかな?」
涼子がぼやく。
涼子の好みって、まるっきりゼクスじゃない…。
「あっ…雨?」
外は急に雨が降りだした。
「ゲリラ豪雨でしょ?2~30分で止むわよ…」
涼子の言う通り、かき氷を食べ終わったら雨は止んで日が射してきた。
「…見て!虹よ!」
外に出るとビルとビルを繋ぐように虹が掛かっていた。
涼子とゼクスを繋ぐって訳にはいかなわよね。
end