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千分の一話噺

第68章 ミューの日常②・五月雨


「五月雨《さみだれ》ね…」
五月の雨と書くが、これは旧暦の五月で本来は梅雨の事を指している。
しかし今ではシトシトと降る雨の例えで使う事が多いようだ。


ご主人様は朝のヨーグルトを食べながら、窓の外を眺め呟いていた。
どこかへ出掛ける予定だったみたいだけど、この雨で中止になったらしい。
「にゃ~」
だったら遊んで欲しいから鳴いてみた。
「ミューもこれじゃあ外に行けないね」
ご主人様が優しく頭を撫でてくれた。
「はぁ~」
しかし、ご主人様は頬杖をして溜め息を吐いている。
これじゃあ、とても遊んでくれそうもない。

仕方ないからいつもの出窓へ…。
「にゃ?」
出窓にはいつもと違う赤い花が飾られてあった。
出窓に飛び乗ったところでご主人様に呼び止められた。
「ミュー!その花は大事な花だから悪戯しちゃダメよ」

大事な花って何だろう?
首を傾げて香りを嗅いでみた。
極僅かだけど、ほんのりと甘いが香りする。
「にゃ~♪」
一鳴きするとご主人様にひょいと抱き抱えられた。
「ダ~メ!これは母さんにあげるカーネーションなんだからっ!」
ご主人様に抱き抱えられたまま出窓の部屋から連れ出された。

でもその後、ご主人様と遊べたから満足だにゃ~。


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