第675章 幼馴染みの瞳に何が映る?
コロナも収まり5年ぶりくらいに田舎へ帰って来た。
「ちょっと遅くなっちゃったわね」
実家には夕方になったが、幼馴染みとばったり出会った。
「…ヒロシ?久しぶりね」
隣に住んでいて、同い年だから家族ぐるみでいつも一緒に遊んでいたヒロシだ。
どうやら仕事帰りのようだ。
「か、香奈恵か?…何年ぶりだよ?」
「8年ぶりかな?元気そうだね
今も野球やってるの?」
「草野球だけどな…
お前こそ、今もまだ身体動かしてるのか?」
私は学生の頃からスポーツ大好きで、彼は野球に打ち込んでいた。
「私、最近ボウリングにハマってるのよ!」
「ボウリング?…昔は一緒に散々やったよなぁ」
「どう?久しぶりにやってみる?」
「いいぜ、3ゲーム勝負するか?」
ヒロシは何かと勝負したがる癖がある。
「何?今の私に勝てると思ってる?」
「ちょろいもんだぜ」
「何年もやってないんでしょ?
ハンデ付けてあげようか?」
「ふざけるなよ
いくらブランクあるからってお前に負けるかよ」
何年経っても負けず嫌いなのね。
「じゃあ、賭ける?」
「いいぜ!俺が勝ったらキャラメルだからな」
「相変わらずお子様ね
いつものミルクキャラメルで良いの?」
「おお!キャラメルはミルクキャラメルに限るぜ!」
子供の頃からの大好物、大人になっても好きなんだ。
「私が勝ったら……どうしようかな?」
「何でもやってやるよ」
「その言葉、忘れないでね」
私達はお互い着替えてから地元のボウリング場に向かった。
結果は言うまでもなく私の圧勝。
「…仕事の疲れが出たんだ!」
と、のたまうヒロシ。
ボウリング場を出ると街中はいやに暗かった。
「…停電?」
「今日は夏至だろ?
コロナになってから、キャンドルナイトをやるようになったんだ」
「ふ~ん、…でもお店はやってるのね」
看板は消えてるけど、営業中の張り紙がされていた。
店内も必要最低限の電気は点いてるが、カウンターには蝋燭が灯されている。
「…さて、何を奢ってもらおうかしら?」
「たっく、ラーメン屋で何気取ってんだよ」
「良いでしょ、ここのラーメン久しぶりなんだから!」
懐かしい味を懐かしい相手と堪能出来て、帰って来て良かったと思った。
end