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千分の一話噺

第672章 満月に吠えるのは狼か? 前編


『満月の夜に鎧武者の亡霊が現れる』
巷に妙な噂が流れていた。

「次の依頼が来たぜ」
「今度は暴れられるのか?」
相方は拳を突き出した。
「何でお前はそう力任せなんだ?」
「うっせぇ!考えるのはお前の役目だろ?」
俺は呆れるしかない。

依頼の内容は噂の武者亡霊の退治だった。

「それってネットで騒がれてる都市伝説だろ?
それこそ眉唾だぜ」
「そうでもないんだ」
俺はパソコンの画面を相方に見せる。
「これが正式な依頼内容だ」
「へぇ~、これならぶっ倒し甲斐がありそうだな」
相方はポキポキと指を鳴らした。

俺達はその日の夜、とある港の倉庫に来た。
「今日はよろしくお願いします」
依頼人が待っていた。
「武者の亡霊はこの中ですか?」
「はい、なんとか閉じ込めてます」
俺達は倉庫の中に入った。

倉庫の中には鋼鉄で出来た檻があり、その中に鎧武者がいた。
「こいつが亡霊の正体か?」
依頼は満月の夜に暴走した作業用アンドロイドの試作品を破壊する事だ。
鎧のように見えるプロテクターと兜のように見えるヘルメットから鎧武者と間違われた。
「こいつのエネルギーは1ヶ月くらい保つらしい
止めるには頭脳であるAIを破壊するしかない」
「ふん、あの兜を吹っ飛ばせばいいんだろ?」
相方は懐から銃を抜き、照準を定め引鉄《ひきがね》を引いた。 

しかし、アンドロイドは事も無げに弾丸を避けた。
「何っ!避けやがった!?」
「まあ、優秀なAIらしいからね
お前の下手な鉄砲じゃあ、数撃っても当たらないだろうな」
俺は両手を広げ肩をすくめる。


to be continued...


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