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千分の一話噺

第665章 天才と紙一重?


奇才と言われた博士、江地尊《えじたける》。
動物と会話出来る機械を開発する事が彼の夢だ。

「ダメだ!ダメだ!ダメだ!」
今日も実験に失敗しているようだ。
「人間に一番近いとされるチンパンジーすら理解出来ない!
こんなんじゃダメだ!!!」
脳波を調べ、声帯を調べ、脈拍、呼吸、血圧…。
考えられる全ての要素を調べたが、会話どころか何がしたいのかも分からなかった。

チンパンジーだけじゃなく、犬、猫、猿、鳥や爬虫類や魚まで、手当たり次第に実験を繰り返した。
「何で分からないんだ!?
動物同士は明らかにコミュニケーションしているのに何で私には理解出来ない!?」
博士のストレスは溜まる一方だ。


何年も何年も動物と向き合い研究と実験を繰り返した。
10年が経ち、脳波の測定器が進歩し今まで現れなかった波形を見付けた。
20年目には、その脳波でコミニュケーションしている事が分かった。
30年後、その脳波が人間にもある事が分かり、それを読み取る装置の開発に成功したと発表した。
しかし、それは…。
「どうせ、あのエジソンだろ?
そんなの出来る訳ないさ」
誰にも相手にされなかった。

博士はそれで良いと思っていた。
そして80歳を迎え、遂に動物との会話に成功した。

博士は動物との会話が出来る装置を組み込んだヘルメットを被りある場所へ向かった。

『どうだ?次は誰が勝つんだ?』
『次のレースは俺の番だ』
『あたしが2着で…』
『僕が3着だね』

博士は競走馬と会話し、何度も大穴の三連単を見事に当てて大金を手に入れた。


end

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