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千分の一話噺

第664章 思えば遠くへ来たものだ…


見渡せばそこは一面すみれ草が咲き乱れる草原。
遠くに山や森が見えるが、他には何もない。

初めは長閑で良い所だと思った。

家もビルもない、人すら見当たらない。
まるで地球じゃない星にいるようだった。

しかし、ここは紛れもなく地球だ。

ただ、地上を支配するのは人間ではなく、巨体を揺らし闊歩する恐竜だが…。



そして、俺は前世の記憶を持ったまま転生したトリケラトプスだ。

(転生って異世界限定なのかと思ったら過去にも行けるのね…
しかし、恐竜じゃあ人間の頃の知恵も知識も使い道がないな)

卵から生まれ出て、最初に見たのが親のトリケラトプス…。

人間(じゃないけど)、極限を超えると真っ白になるんだな。
あれこれ考えても自分の限界を超えた状況を理解出来ない。
それでも何故か襲われないと直感したのは、やはり親子だからなんだろう。

恐竜生活一年目、見る事する事、全てが想像を超えた現実だ。
トリケラトプスは見た目は角があって厳ついが、普段はおとなしい草食恐竜だ。
草って意外と美味いと思うのは、草食恐竜の味覚だからなんだろう。


まあ、恐竜生活も案外悪くないな。


end

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