第656章 そこに希望はあるのか?
今日は家族みんなで回転寿司を食べに来た。
みんな好きなネタを食べて、お茶を飲んでいるとおじいちゃんが…。
「店員さん、葛湯はないかのぉ~」
「おじいちゃん、ここはお寿司屋さんだからないわよ」
私がおじいちゃんを止めると、店員が…。
「…葛湯ならありますよ」
「えっ?あるんですか?
でも、メニューには…」
私は首を傾げた。
「いわゆる裏メニューですから…
少々お待ち下さい」
店員はにこやかに立ち去った。
「回転寿司屋に裏メニューがあるなんて初めて聞いたわ」
「バーロー、そんなのあるわけねぇだろ?
あの店員に担がれたんだよ」
「でも、今そんなことしたら大炎上よ」
「じゃあ、品切れだとか言って割引券でも持ってくるんじゃね?」
兄の意見におじいちゃん以外の家族はウンウンと頷いた。
しかし、しばらくするとさっきの店員が戻ってきた。
「お待たせ致しました
葛湯でございます」
おじいちゃんの前に葛湯が入った湯呑みを置いた。
「すまないねぇ~
食事の後は葛湯が一番じゃ…」
おじいちゃんは美味しそうに葛湯を啜る。
「……あるんだ」
おじいちゃん以外の家族全員が声を揃えた。
「あの…何で葛湯なんてあるんですか?」
私はたまらず店員に聞いた。
「うちのデザートに葛餅があるんですよ
…なら葛湯もないか?と言われる事があって、希望のお客様にだけ提供させていただいてます」
店員の説明にみんな納得していた。
「…バカヤローはお兄ちゃんだったのね」
兄は頭を掻いて苦笑いしていた。
end