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千分の一話噺

第652章 三十路男は引っ越しで運を掴めるのか? (前編)


俺も今年で30歳、立派なオヤジの仲間入りか…。

だがしかし、結婚もしてないし、ましてや子供もいないから本当の親父にはなってない。
「はぁ…心機一転するか…」
俺は引っ越しを決意した。

今住んでるアパートに不満がある訳ではない。
占い好きな吉田から、俺が結婚出来ないのはアパートの向きが悪いからだとか言われた事がある。
風水とか言うやつらしいが、俺はそんなもん信じてはいない。
ただ、今、凄く気になる女性がいる。
引っ越すくらいで仲が良くなれるなら安いもんだ。

気分が変われば運も良くなるかも知れない。

どんな部屋が良いのか教えて貰おうと吉田に連絡した。
「それなら不動産屋に行くとき付いてってやるよ」
正直、付いて来なくてもいいんだが、どうせ変わるなら徹底的にと思い、吉田に来てもらった。

不動産屋に張り出されている物件を何ヵ所か見て回ると吉田が…。
「これは…、この部屋ならお前の運は最強だ!」
イチオシの部屋を見付けた。
「…これ?」
張り出されていたのは、築五十年、木造二階建ての二階東南角部屋、風呂無し、共同トイレ、家賃一万五千円、敷金礼金なし…。
今時、こんなアパートがある事が不思議でならない物件だ。
「ちょっと待て!こんなボロアパート、東京にあるわけないだろ!」
「ふっ、住所を見てみろ」
「東京都…、奥多摩土居中村…、字土居中…?」
「そう、これはれっきとした都内の物件だ
運試しだと思って住んでみろ」
そう言われても、これは…。

とは思ったが、家賃が安いので試しに引っ越した。
住んでみると部屋はともかく周りは大自然で十分気分転換にはなった。
これで本当に運が上がるのだろうか?


to be continued...

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