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千分の一話噺

第65章 ドラマ


春は新年度となりテレビ番組もいろいろ変わる。

最近は同じような面子が並ぶバラエティー番組には興味が湧かない。

ドラマと言えば、マンガや小説を原作としたものばかり。
キャラクターと演じる俳優のイメージが合わないと最悪な結果となる。
たまに局オリジナルのドラマもあるのだが…。



「昨日の新しいドラマ見た?」
「見た見た!スゲー面白れぇな」
私の周りで俄に話題となっているドラマがある。
春の新番組として始まったドラマだ。
「なんだよ、見てないのかよ
マジで面白いから見てみ」
私は興味が湧かなくて見なかったのだが、みんなに薦められ次の回を見ることにした。

オープニングで流れるキャストの名前、主役やヒロインの俳優でさえ名前を聞いた事がない。
新人?かと思ったが、どちらも舞台俳優のようだ。
あまり期待もせずに見始めたのだが、これがとにかく面白い。

今では珍しいホームコメディや人情話や恋愛話などを上手く織り交ぜた脚本に、随所に見られる粋な演出が素晴らしい。
笑いあり、感動あり、涙あり…。
画面に張り付く様に見入って、あっという間に一時間が過ぎた。

どこか懐かしい様な、それでいて斬新な様な、最近のテレビ番組に飽き飽きしていた心にそよ風が吹いた様な気分だった。

毎週の楽しみが出来た。


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