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千分の一話噺

第637章 異世界アパート23


今年もハロウィンの季節。
異世界なら毎日がハロウィンのコスプレみたいなものだ。

「ねぇアヤコ、砂糖切らしちゃったからお使いお願い」
午前中だけカタリナは店で仕込みをしている。
カタリナは天才シェフでもあるから、私は料理を覚えるため手が空いてる時は手伝っている。
「砂糖って、シェナさんの店だっけ?」
「あそこはスパイスよ
砂糖はランディさんの店!」
食材の仕入れはナタリーがまとめて手配している。
それでもたまになくなる物もあるから私がいる時はお使いを頼まれる。

「いらっしゃいワン!」
ランディさんは犬系の獣人だ。
「お砂糖下さい」
「今バーゲンセール中だから安くしとくワン!」
初めは驚いたが今では普通に接している。
獣人は他にも猫系やウサギ系、爬虫類系もいる。
爬虫類系は冒険者が多いけど、今でもちょっと苦手…。

店に戻ると、冒険者のゼクスが来ていた。
「アヤコ、待ってたぜ」
「…今日は何なの?」
ゼクスは冒険で手にいれた物を持ってくるのだが大体ろくでもない物だ。
「ナタリーに頼まれた食材、スノーバードの肉と卵だ
それとアヤコにはコレだ」
ゼクスは背負っていた荷物を下ろすとポケットから小瓶を取り出した。
「何これ?」
「雪蝶が落とす香水さ
レアアイテムなんだぜ」
「また、落とし物?」
私はあからさまに嫌な顔した。

「アヤコ?どうしたの?」
店からカタリナが顔を出した。
「…これって本当にレアアイテムなの?」
「またゼクス?…ふ~ん、雪蝶の香水ね
滅多に落とさないから確かにレアだけど、ちょっと良い香りがするだけで役には立たないわ」
私は瓶の蓋を開けて匂いを嗅いだ。
「あっ、私この香り好き♪」
好みの香りだった。
「よっしゃー!アヤコに気に入られたぜ!」
「アヤコが気に入ったのはあんたじゃないわよ!
さっさと帰りな!」
ゼクスはカタリナに追い返された。

ちょっとゼクスが気の毒に思えた。


end


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